↓その2はこちら↓
職人になってから、1ヶ月ちょいが過ぎた。
目が死んでるパートさんは相変わらず娘はグレてるらしいし、2連勤目でも目が死んでた。
俺と一緒でデフォルトで目が死んでるタイプなんだろう。余計親近感沸いた。
揚げ物のパートさんとはよく休憩の時間が被るので店長の悪口を言い合っていた。
相当店長にボロクソ言われてフラストレーションが溜まってたらしく、おいおいおいおい扉1枚挟んだ向こうちょっと歩いたところに店長いんだぞ、ってこっちがドキドキするくらい暴言出てた。落ち着け。
仕事の方はというと、副店長からの『Mr.いなり』呼びは3日で終わったし、相変わらずパフェの土台は美味しかった。
ただ、1つだけ大きな(?)ミスをした。
ある日、寿司に寿司用のレモンじゃなくて、唐揚げ用のレモンを乗せてしまい、レーンにネタと同じくらいのサイズのレモンが乗った寿司が流れることとなった。
店長にはめっちゃ怒られた。「見栄えどう考えてもおかしいだろ」と。
むしろサイズに統一感あって良くない?って思ったけどそんなこと口にした瞬間ブチ切れるのは目に見えてたので、大人しく「言われてみればおかしいっす。レモン大き過ぎっすね笑」と答えておいた。
更に怒られた。
ちなみに副店長は奥の方で爆笑してた。目が死んでるパートさんも、このときばかりは少しだけ笑っていた。
そんな感じで俺もまだ発展途上だった時期に新しい子が入ってきた。高校2年生のかわいらしい女の子だ。
副店長「あのMr.いなりから色々教えてもらって」
すいませーん、副店長がいきなり職務放棄してるんですけどー!!
まあでもよーく考えてみたら寿司作る上で教えることなんて『ベルトコンベアで流れてくるシャリにネタを乗せる』くらいしかなかった。
いなりも俺より上手く作れてたし。(ちょっと悔しい)
なんだよ、最近のいなり環境インフレしすぎだろ。いいよ。もうMs.いなりって名乗っていいよ。
パフェの土台は食ってもバレないということも教えると、要所要所でつまみ食いするようになった。
あとは先輩っぽく「困ったことがあったら何でも聞いて」と言っておいた。ちなみに答えられるとは言ってない。
後から聞いた話だけど、この子は弟に誕生日プレゼントを買ってあげるためにバイトを始めたらしい。
何それいい子すぎない?俺、彼女に対して敬語使って先輩呼びした方がいいレベルじゃない?
しばらくはその子と二人で作業することが主になった。
特に問題はなかった、ていうか俺より作るスピード早かった気がするけどトッピングを忘れることが多いのがネックだった。
高校生「発車させますね」
俺「あーい……あ、サーモンに玉ねぎ忘れてる」
高校生「えっ、あ」
俺「まあ大丈夫っしょ~。次玉ねぎのトッピングあるの注文来たら倍盛りにしよ」
多分俺、適当すぎるから人の上に立っちゃダメだと思う。
つかサーモン忘れたならまだしも玉ねぎ忘れて文句言うやついる?うちの店長は怒ってたけど。
あとやっぱり真イカと甲イカの区別付けるの難しいっぽかった。
高校生「先輩!」
俺「はーい」
高校生「真イカってどっちですか??」
俺「うーーーーんと、多分こっち!!」
店長「オメーそれ甲イカだろーが!!!」
俺も間違えた。