これは小学校4年生のときの話になる。
家族でキャンプに行ってて、テントで寝てたんだけど、夜中の3時くらいにトイレに行きたくなって目が覚めた。
もうそのときの俺は夜中でも一人でトイレに行けるようになってたから胸を張ってテントを飛び出した。
一人でできるもん、だ。ナメんなよ。
テントからトイレは5〜60mくらいの距離。
明かりはなかったけど、全然見えるレベルだったので何も持たずにトイレに向かおうとした。
トイレの前に怪しく光る4つの点があった。
俺「おいおいもしかして心霊現しょ……ありゃ熊だな!???」
熊だ、目が光ってた。しかも子連れ。
初めての本物の生の熊だった。当時の俺は熊と言えばプーさん、みたいなレベルだったからマジで焦った。
いやもう全然可愛くねーよ。こえーよ。クリストファー=ロビンはアイツとも友だちになれんのかな。
テレビで聞いたことがあったのか、とりあえず子連れは気が立っててヤバいとは知ってた。
こっち見たら間違いなく殺されると思ったので、とりあえずテントに戻った。
無理だ、熊はさすがに無理だ。用を足したきゃ熊を倒せ?いや無理じゃん。ハイリスクローローローリターンがすぎる。
おしっこと自分の命を天秤にかけておしっこ取るやつがいるだろうか?いや、いない。(反語)
俺はトイレを諦め、再び寝ようとしたが、万が一漏らしてしまった時のことが頭をよぎった。
テントが汚れる、寝袋が汚れる、ズボンもパンツも汚れる。
我慢するのがいいか、立ちで済ませた方がいいか。俺はバカながらに思考を巡らせた。
…
……
外に出て、近くに咲いてたコスモスに謝りながら用を足した。
それもこれもトイレの前に居座ってた熊が悪い。
何もせずに戻るのは悔しかったから、せめてひと睨みしてやろうと思ってクマの方を向いた。
めっちゃ目が光ってた。
俺はチビってテントに戻って寝た。