はるか昔に書いたその1↓
知覚過敏の治療から数日後、Eカップ(推定)の歯科医師のお姉さんに今度は虫歯を治してもらった。
「じゃあ紹介状書きますね」
えっお姉さんが抜くんじゃないの!?
俺はちょっとだけショックだった。
紹介された先が筋肉ムキムキマッチョマンの医者だったらどうしよう。
「筋肉麻酔いきますね」って言ってきて首絞めで気絶させられたらどうしよう。
麻酔でもなんでもない。
いや、でも親知らずを抜くことを考えるとパワーがありそう、ってことは安心感はあるのか??
などなど頭の悪いことを考えているとお姉さんが紹介状を渡してくれた。
ん?待てよ?
女性から、これまた丁寧に便箋(?)に入れられた手紙、まさかこれ実質ラブレターでは!?(違う)
ぽぽすこ、23歳にして人生初のラブレターだった。
閑話休題。
知覚過敏を治した。虫歯も治療した。
そして最後は親知らずを抜く。紹介状に書かれてる病院は俺の住んでるところで一番大きな病院だった。
もう、ここの歯医者に来ることはないのか。もう、お姉さんには会えないのか。
もう…頭に…Eカップの感触を得ることはっ……!!!!! チクショウ!!!!!!
俺は少しさみしい気持ちになった。
お姉さん「また、今度は普通に歯のクリーニングにいらしてくださ」
俺「絶対行きます」
めっちゃ食い気味だった。
俺、紹介状を約1年放置
家に帰って治療が終わってハイになってたのか、俺はすぐに大きな病院に連絡した。
しかしそんな俺を待っていたのは非情な現実だった。
受付「予約してください」
俺は電話を切った。
んだよ!紹介状ってファストパス的な役割ねーのかよ!!(ムチャクチャ)
「紹介状持ってるの?オッケー、じゃあ明日空いてる?」みたいな感じでめっちゃスムーズにいけんのかと思ったわ!
それ以降、俺は紹介状のことなどすっかり忘れてしまって、なんと気づけば1年近くが経過した。
べっべべっべべべべ別にビビってたわけじゃねーから!!!!
異変があったのは今年の4月頭のことだ。
「なんか上の奥歯がちょっと痛え」
しみる、というより重く響くような痛み、虫歯のなり始めかな。
いい加減行くか。そういえば紹介状あったよな……。
紹介状をなんとか見つけ出し、病院に電話をかけてみた。
俺「予約したいです。紹介状は6月にもらってます」
受付「紹介状の有効期限は3ヶ月です」
俺は紹介状をゴミ箱に投げ捨てた。
Eカップの次はクールビューティー
電話を続けてると、どうやら紹介状なしでも行けるらしく、なんとか予約を取ることができた。
紹介状いらねーのかよ。
待合室で10分ほど待っているとお呼びがかかった。
呼ばれた先の部屋で待っていたのはクールビューティーなお姉さんだった。
クールビューティー「じゃあ早速レントゲン撮りましょうか」
別室に移動し、鎖かたびらみたいなのを着せられ、物々しい機械の前に立たされた。
またコレか。また周囲をぐるぐる周るタイプのやつか。流行ってんのかこれ。
クールビューティー「こちらに来てください」
俺「あ、はい」
言われるがままにクールビューティーの方に行くと、俺の歯のレントゲンが映し出されていた。
クールビューティー「下の歯は結構潜ってるので歯茎を少し切ります。骨もちょっと削ります。
上の歯は真っ直ぐ生えてはいますが、ちょっと虫歯気味なので途中で折れるかもしれないです。そのときも少し歯茎を切ります。
神経近いので稀に後遺症のような感じでピリピリが残ることがあります」
めっちゃビビらせてくるじゃん!??せっかく決心したのに帰りそうだわ。
俺「うわあ、エグいっすね」
クールビューティー「エg…まあ、そうですね」
このときのクールビューティーの「あ、こいつはバカだな」みたいな顔、絶対忘れないからな。
クールビューティー「よろしいですか?」
よろしいも何もここで引き下がるなんて選択肢あるの??
いいの??これ、帰っても???
『ちょっ……と、思ってたよりも怖いんで、やめときます☆』
みたいな。そんなの許されるの?(死ぬほどかっこ悪い)
俺「お願いします」
そんなわけにはいかないよな。このクールビューティーにかっこ悪いところを見せるわけにはいかないんだよな!!!?男を見せろ、ぽぽすこ!!!
クールビューティー「では、ここに日付と名前を」
ねえ待ってよ、このクールビューティー、淡々としすぎてない?いくら他人の歯だからって俺の一大決心、あっさり受け流しすぎてない?
俺「結構大掛かりなんすね。もっとこうスポン!って抜けるもんだと思ってました」
クールビューティー「斜めに生えてるんだから中々スポンとはいかないですよ」
『そりゃ1+1は2でしょ』みたいな口調だった。冷てぇ。
そんな会話をしてるうちに『マジでコレ何に使うの?』みたいな物々しい器具をガシャン、ガシャンと助手(?)たちが準備していく。
俺「これ、腫れて喋れなくなるとか、あります?」
クールビューティー「腫れはしますが、喋れなくなるほど、なんてことはありませんよ」
はは、手足が震えてきやがった。
これは怖いから震えてるんじゃない。武者震いってやつだ。
きっと。いや多分。恐らく。
俺「ご、ご飯とか普通に食べれますかね」
クールビューティー「食べ辛さはあるかもしれませんが大丈夫かと」
今気づいた、俺ってビビってるとめっちゃ喋るんだわ。
クールビューティー「じゃあ始めますね。痛かったら手挙げてください」
助手「水かかるので顔にカバーかけますね」
そして、ついに始まった。
クールビューティー「麻酔いきますね。ちょっとチクッとしますよ」
チクッ
俺「スッ」
クールビューティー「どうしました?」
俺「(思ってたよりも)いふぁいれす(痛いです)」
ちくしょう、手突っ込まれてるからメチャクチャ喋りづらい。
クールビューティー「少しは我慢してください」
うそお!?そんなことあるう!?!???
ギュイイイイイイイイイイイイン
俺「スッ」
クールビューティー「………」
止ーーーめーーーてーーーよーーーー!!!!!!!
こっっっっっっわ!!痛くないけどこっっっっわ!!!!
麻酔が効いてるから痛さはないけど弄られてる感覚はあるんだよな!!?
ゴリッ ゴリッ ゴリッ
俺「スッ」
クールビューティー「…………」
こ、この人……まさか見てない……!!!?
ちょっと、こっちを見…
パキョッ
あっ……
クールビューティー「次、上いきますね」
こんな苦行をあともう1回やんの!?!??
麻酔が効いてるからなのか、恐怖からなのかアゴがプルプル震えちゃってるよ!???!?
スポンっ
あっさり抜けるんかーい。
歯、持ち帰れる
助手「ガーゼです。ギュって噛んで20分後くらいに捨ててください」
満身創痍俺「ふぁい」
クールビューティー「お疲れさまでした。これ、歯です。下の歯はこっちですね。割ったので欠けてます」
そう言うクールビューティーは今日イチ楽しそうな声してた。
いやもうね、歯ね、アホほどグロかった。
クールビューティー「お持ち帰りしますか?」
………何て?
今、マックのテイクアウトみたいなノリで「お持ち帰りしますか?」って聞いてきたけど
待て待て、えっ、持って帰るやつとかいるの?ヤバくない?
なに、貰えるものは貰っとく精神の持ち主?
その精神もそこまでいくとヤバいでしょ。
自分の歯だから、みたいな、そういうこと?
自分で出したゴミは自分で捨てようみたいな?
それ言われたらまあ確かに……持っていくのもやぶさかでは……
クールビューティー「ほとんどの方は処分されていかれますね」
俺「じゃあ処分で」
↓次↓