暑くて目覚ましよりも早く目が覚めた。
ベッドのシーツは衣替えのときに合わせて夏用に替えたけど、毛布はそのままだ。
毛布もそろそろ片付けなきゃだ。
朝ごはんの準備に取り掛かろう。2人分のパンをトーストに突っ込む。
パンが焼けるまでの間に最近始めたアークナイツというゲームのログインを済ませた。
ピンク髪のお嬢様みたいなキャラに惹かれて始めたけど、やっぱりタワーディフェンス系のゲームは苦手だ。
この手のゲームはゴリ押しをさせてくれない。
こちとら考えるのが苦手なんだ、ゴリ押しをさせてくれ(懇願)
チン、とトースターから安っぽい音が鳴り響き、部屋にこんがり焼けたいい匂いがしてき……
やっべ、焦がしちゃった。
「パン焼けたよ」と彼女に声を掛けたところで昨夜「明日から朝はフルグラを食べる」と言っていたことを思い出した。
外に出る機会が減って動かなくなったので、筋トレと並行して少し炭水化物を減らすダイエットをするそうだ。今思い出した。
やっべ、完全に忘れてた。
そうして彼女はフルグラを、俺はパン2枚を食べた。
普段は1枚しか食べないから、久しぶりに朝から満腹になった。
ふと時計を見ると午後14時前。
しまった。昼寝をしてしまった。
彼女が布団でゴロゴロしながらスマホをいじってたので俺もちょっとだけ横に……とベッドに向かったらこれだ。
急いでお昼ご飯の準備をしよう。
こんな風に寝過ごしてしまった時や、
「えっ、今日家事しぬほど面倒くせえな」
ってなった時にすぐご飯が食べれるようにぽぽすこ家では冷凍チャーハンを常備している。
チャーハンだけじゃ寂しいので、いつだったか作ったお弁当に入れる用に買ったアンパンマンポテトもチンした。アンパンマンポテトは彼女の好物だ。
「簡単で申し訳ない」
「いや、用意してくれるだけでもありがたい。むしろ今までよく毎回作れてたよね」
アイスを買った。俺は爽のチョココーヒー味、彼女はプリン味。
スプーンを落としてしまった。
俺は使いかけのスプーンがあるからそっちを使おうと思ってたので、彼女には落とした方のスプーンを渡した。
それがどうやら彼女は不満だったようで。
「私には落としたスプーンですか!?」
「落としたけど未使用のスプーンか、俺の使用済みスプーン。どっちか選んでいいよ」
「正直どっちでもいいよ」
そこは俺の使用済みスプーンって言ってよ。(変態)
それにしても爽のチョココーヒー味、メチャクチャ美味い。箱で欲しいくらいだ。
彼女は半分食べたあたりで手が止まっていて、既にベッドに横になってた。
「爽は美味しいけど、量が多い。半分くらいで十分」
とのことだった。確かに『真夏の公園』だったら美味しく食べきれるけど。5月かつ室内で、となるとまだ暑さが足りない。
後半もういいやとなりはじめるのも事実なんだよな。
それにしても何だろう、このチョココーヒー味。初めて食べるはずなのに感じるこの謎の既視感は…。
「めっちゃ美味しいよ」って彼女にも一口あげると
「めっちゃ美味しい」って彼女も笑った。
2人して語彙力はあまりない。
「スタバのフラペチーノみたいだね」
あっ、既視感の原因はそれだ。
口に入れた感じが完全にフラペチーノだ。ということはこいつはもう実質フラペチーノということにならないだろうか。
あーあ、スタバもう潰れたな。
「フラペチーノ飲みたくなったらこれ買えば解決だね」
「それはちょっと違う。だってこれ吸えないもん」
ですよね。