冷蔵庫の奥底に1週間ほど賞味期限が切れたシュレッドチーズがあることに気づいた。
『消費期限』じゃくて『賞味期限』が切れただけならまだいける。
それが俺と奥さんの共通認識だった。
ただ、早めに使い切ったほうがいいことに変わりはない。
チーズを多めに使う料理は何があるかなあ、という話をして「それならチーズフォンデュはどうか」という話になった。
チーズフォンデュなら結構な量のチーズを使える。
それになにより、家の収納に未開封のまま眠っているフォンデュ用の器も陽の目を浴びることが出来る。
これ、買ってから2年くらい経ってる気するけど、逆によく今まで開けずにいれたな??
閑話休題。
そうと決まれば、早速準備に取り掛かることにした。
ウインナー、人参、じゃがいも、ブロッコリー。
チーズフォンデュ、と聞いてパッと思いつく食材で家にあったのはこれくらいだった。
それぞれ食べやすい大きさにカットして、火を通す。
器にチーズを入れ、レンジにブチ込む。
2分半くらい温めればいい感じになるだろ。
俺はこのとき、完全にチーズフォンデュという料理をナメきっていた。
チーズを熱して溶かせば簡単にフォンデュになるだろ、と。
そう思い込んでいた。
レンジからチーズを取り出した俺は絶望した。
目の前に現れたのは油分と分離した無残な姿のチーズゥゥ!!!?!?
ハァ!?!???
俺は現実を受け入れられず、もう一度レンジにブチ込んだ。
そう、そうだ。温めが足りなかったんだ。
追加で1分温めをした。
取り出した。
変わらぬチーズの姿。
な、何これ!!!?!??
想像してたのと全然違うんだけど!?!?
レンジから出して10秒くらいしたらもう固形になり始めてるし!???
仕方無しに食卓に並べる。
奥さん「何これ」
そうだよね。そうなるよね。
俺「イヤ、チーズフォンデュですけど!?!???」
しかし俺も引くわけにはいかない。
チーズフォンデュを作ろうとした結果出来たのものなのだから、これは誰が何と言おうとチーズフォンデュなのである。
困惑する奥さんと一緒に、いざ実食。
俺「まあ美味いっちゃ美味いけど……」
奥さん「……思い描いていたのと違うね」
とイマイチ盛り上がらなかった。
今月最大級の謝罪をした後に、何がいけなかったのかを確認するためにレシピを調べてみる。
片栗粉をまぶして、白ワインを先に火にかけて、ゆっくり加熱していくのがいいらしい。
意外と踏むべき工程があるという気付きを得た。
おいおいおい、ゆっくり加熱するのがベストなら電子レンジなんて論外じゃん。
なんだよお、そういうことかよ〜。
…。
……。
ていうかさぁ……………
最初からレシピ見ろよって話だよなァ!?!?