ぽぽすこ行進曲

精神年齢は高校生くらいで止まってます

お菓子がタダで食べれるからって聖書を読みに行った話

確か小学3年生のときだ。

その時よくつるんでいたのは森山、高坂という2人の男だった。全員家が近い。

高坂は『高坂探検隊』というものを結成し、俺と森山を勝手に探検隊のメンバーに加えて放課後に近くの公園に集めていた。

ちなみにそれぞれ役割分担もしっかりとしている。

高坂は頭もよく、セコいので頭脳担当

森山は親の影響で格闘技が好きなので戦闘担当

そして俺はと言うと、特にこれといって何もなかったのでお色気担当だった。

せめて雑用係とかにしてくれよ。

なお現代において、小学生がまともに戦闘とお色気を駆使して何かをする場面はほぼないので機能してたのは実質頭脳担当だけとなる。

ていうかもしかしたらこれ、高坂の黒歴史かもしれねえ。ごめん高坂。


『せいしょ、とかいうのを読みに行くとタダでお菓子いっぱい食えるらしい』

そんな情報を持ってきたのは高坂だった。

俺と森山はザワついた。

お菓子が無料!???

しかもいっぱい食える!?!?

当時の俺のお小遣いは500円。

お菓子を買うのだって命がけだ。

いくら消費税が5%だったとは言え、ファミリーサイズのアルフォートを1袋買ったら最後、もう虫の息だ。

小学3年生にとって『お菓子』が『無料』で『いっぱい』食べられる環境っていうのはもう楽園に近かった。

その情報を持ってきた高坂本人も口に出して初めてその凄さに気づいたのか、「お菓子をタダで……えっ、マジか」みたいな顔をしていた。

場所を調べてみると、会場はいつも集まってる公園の近くだった。次の日曜日に開催されるとのことだったので全員で行くぞという方向で話が進んだ。というか高坂が無理やり行く方向に持っていった。

でも俺も森山もお菓子に目が眩んで、満更ではないどころかむしろウェルカムだった。


高坂「よっしゃあ!!高坂探検隊行くぞ!!今度の日曜はせいしょを読みに行くぞお!!」

俺・森山「「うおおおお!!!せいしょ読むぞお!!!めっちゃ読むぞおおお!!!!ああああああ!!」」





森山「ところで『せいしょ』って何だ?」

俺・高坂「……………………えっ、何だろ……?」


俺たち3人は疑問に思った。

読みに行ったらお菓子が貰えるっていうのは分かったよ。

じゃあその大量のお菓子と引き合いに出されるって一体何なんだ…?そんなにヤバいやつなのか、せいしょっていうのは。

なんだか急に怖くなってきた。読みにいくのやめようかなと思ったくらいだ。(意志激弱)

分かんないときは先生に聞くのが一番だ。俺たちは職員室にいる担任の先生のところに向かった。

「先生〜せいしょってなに?」

先生は「せいしょ……あ、聖書かな?う〜ん」とちょっと考えてるようだった。多分俺たちにも分かるような言葉を選んでたんだろう。

先生「そうだなあ、簡単に言うと外国の昔の神様のお話だよ」

俺・森山・高坂「「「神!!」」」

見事な食いつきっぷりだった。

というのも当時俺たちの周りではデュエルマスターズというカードゲームが流行っていたから、ドラゴンとか神とかそういうのが『かっけー!!』ってなってる時期だった。

大体、皆「単色!!」「火文明!!闇文明!!」とか言う中、俺は自然文明と水文明の2つの混合デッキを使っていた。

自然文明はエネルギーを貯めるのが得意。水文明は手札を増やすのが得意。

エネルギーめっちゃ貯めて、手札のカードをいっぱい使って物量で押し切る。

これが当時小学3年生の俺が導き出した『最強』の答えだった。(パワー不足)(なお山札が切れて負ける)(勝率3割)

そんな俺の当時の切り札は大勇者「ふたつ牙」。

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こいつを出すとエネルギーが一気に2も貯まる。

当時は強かったの。

閑話休題。

それにしても外国の神様の話ときたか。

これはもう力と力のぶつかり合い待ったなし。それによって引き起こされる天変地異。アホほどでかいスケールの話になるんだろうな、とその日は想像を膨らませた。



そして当日になった。

いつもの公園に集まり、チラシに書いてある地図を頼りに行くと会場はすぐに見つかった。

外観は教会みたいな感じではなく、普通の一軒家。

ピンポンを鳴らすと、大人の女性って感じのおねえさんが出てきた。

20歳行くか行かないかくらいだっただろうか。今思い返してみるとそこまで大人ではないかもしれないけど、小学3年生からしてみれば充分大人だ。

そしてちょうど目の高さに広がるおっぱい。(スケベボーイ)

同年代と先生くらいしか異性と話す機会がなかったことに加えて、同年代はまだおっぱいが未発達(最低)だったのでおっぱいに耐性がない俺たちは案の定ドギマギしていた。

高坂と森山は俺の出番だと言わんばかりに俺の肩を連打、どころか押してきた。

俺「なんで俺なん…!」
高坂「だってお前お色気担当だろ……!」

俺「(お色気担当って仕掛ける担当じゃなくて、仕掛けられる担当だったんだ……)」

お色気担当の本当の意味を俺はその日初めて知った。

まあ仕掛ける側って言われても困るんだけどな??

しかも別に仕掛けられてもいないけどな???

『チラシを見てここに聖書を読みに来た』と伝えると、おねえさんはぱあっと明るい笑顔を向けて「入って入って」と招き入れてくれた。

ノースリーブのサマーニットの下に隠れたおっぱいに俺たちは釘付けになっていたので「え、あ、お邪魔します」と空返事をするのが精いっぱいだった。

多分俺ら全員鼻の下伸びてたし、全員おっぱいに目が行ってたよ。(スケベボーイズ)

内観も普通の家のリビングって感じだった。

リビングには同い年くらいの女の子3人。さっきのおねえさんと、もう1人別のお姉さんがいた。

おねえさん「それじゃあ自己紹介だけ軽くしてもらおうかな」

順々に自己紹介をしていき、ついに俺の出番になった。

俺「好きな食べ物はエビフライで嫌いな食べ物はピーマンです」

森山と高坂の自己紹介のときには特にツッコミもしなかったのに、俺が自己紹介を終えると女の子のうちの一人が唐突に口を開いた。

女の子A「ピーマン嫌いとか子どもじゃーん笑

うるせーな子どもだよ、ブッ飛ばすぞ。

こうして自己紹介を終えて、いよいよ聖書の朗読に入った。

確かちょうどノアの方舟どうこうの部分だった気がする。

とりあえず結論だけ言うわ。

お菓子めっちゃ美味かった。(聖書関係ない)

読み終わった後は特に勧誘されるといったこともなかった。なんか出席表みたいなのに名前書かされはしたけど。



俺「聖書、どうだったよ?」

高坂・森山「「お菓子美味かった」」

「だよなあ」と返し、公園に戻っていつものようにデュエルマスターズを始めた。