ぽぽすこ行進曲

精神年齢は高校生くらいで止まってます

高校2年生の文化祭のとき、本当の意味で、俺はシンデレラボーイだった

ぼくはシンデレラボ~~~~イ!!!!

 

My preicious one~~~~~!!!!

 ※キンプリファンごめんなさい

 

 

俺は高校のときは文芸部に所属していた。

 

入ったきっかけは超単純。勧誘の紙に初音ミクが書いてあったからだ。

 

当時はボカロ大好きマンだったからまんまと釣られてしまった。

 

俺を受け入れてくれる人たちはここにしかいねえ!

 

そうして俺は文芸部の部室のドアを叩くのだった。

 

そこはド陰キャの溜まり場だった。

 

俺もド陰キャだったから何も問題なかった。

 

 

普段の活動

 

『文芸部』と聞いてどんな活動をしているのか、ピンとくる人はあんまりいないと思う。

 

活動内容はと言うと、短歌とか俳句、小説とか書いてコンクールに応募したりする。

 

あとはお茶会と称して『お菓子を食べながら今読んでる本を紹介する(ラノベはNG)』みたいなことを月1くらいで開催していた。

 

当時の俺はラノベしか読んでいなかったので、毎回図書館で人気ランキング10位くらいの小説を借りて読んでそれを紹介して、みたいなことを繰り返していた。

 

まあ普段の活動内容はこんな感じだった。

 

 

迫る、文化祭

 

文化祭の時期が近づくと、何をやるかという話になった。

 

冊子でも書けばいいんじゃない??文芸部ってそういう感じでしょ。

 

あ、うちのクラス喫茶店抽選で漏れちゃったから喫茶店でもいいなあ…ん~~~、でもうちの部活、華が少ねえな(失礼)

 

そんなことを考えていると

 

「映画を撮ろう」

 

と誰かが言った。

 

映画、その発想はなかった。でもそういうのって映画部の領分じゃん?そう思ってパラパラと部活一覧の冊子を見てみるも、そこに『映画部』の文字は無かった。

 

なんなら現存してる文化部の中で一番映画作りそうな部活は、文芸部だった。

これもうやるしかねーじゃん。

 

「じゃあシンデレラにしましょう」

 

顧問が言った。

 

って顧問!?!??メッチャしゃしゃって来るじゃん!??

 

まあ確かに文章書くのなんて普段の活動でアホほどやってるしな。文化祭くらいちょっと変わったことやるのもいいな。

 

シンデレラなら俺、馬車の役やりますよヒヒーン。

 

その日は下校時間が来てしまったので配役とか、役者か裏方かとかは後日決めるから各々やりたいやつ考えておくように、と言われその日は解散になった。

 

 

後日

 

俺「俺、馬車や」顧問「とりあえず主役はぽぽすこ」

 

 

 

 

 

 

???????

 

とりあえず生みたいなノリで映画の主役決めちゃっていいの!??

 

しかもシンデレラでしょ!??

 

女性陣いっぱいいるんだし、配役おかしくない!???

 

なんだぁ??女子じゃ華がねえって言いたいのか!!!?おいおいおい謝れよこのタコ助!!!

 

ねえ!話を聞けよ顧問!!!!!

 

こら!!!職員会議だからって言いたいこと言って抜けるんじゃねえ!!!!

 

ていうか俺にドレス着せたいがためにシンデレラっつったろ!!!!

 

 

 

 

 

 

この職権乱用!!!

 

 

 

 

 でもよお先生、他の皆が賛成するかな??

 

華奢な男の子ならまだしも、高身長でしかも肩幅の広いやつがシンデレラ役をやることに一体何人が賛成するだろうなぁ!??

 

なあ!どうだ皆!!

 

あっ!部長~!何か言ってやってくださいよぉ〜!!!

 

 

 

 

 

 

部長「ぽぽすこ君はシンデレラがいいと思います」

 

 俺「…」

 

 




 

 

他の皆もどうやら俺がシンデレラ役で全く問題ないらしく、満場一致で「うんうん」と頷いていた。アンタら感性バグってんだろ。

 

あー、もうどうなっても知らねえ。こうなったら腹を括るしかない。シンデレラやらせていただきますとも。

 

俺はその日の夜、気合を入れるために脚の毛と脇毛を全剃りした。

 

俺はこれからシンデレラになるんだ。シンデレラに体毛は不要。ドレス姿のときに毛が見えてたら観てる人も萎えるだろうし。

 

体毛を全剃りした俺を見てお母さんが声をかけてきた。

 

お母さん「あんた、何かあったの」

 

俺「文化祭でシンデレラやることになったから」

 

お母さん「はあ……それで何であんたが毛剃ってんの??」

 

 

 

 

 

俺「俺、シンデレラだから」

 

 

 

 

 

お母さん「…………ハァ」

 

お母さんは「またワケ分からないこと言いだしたよ」とでも言いたそうに呆れた顔をして部屋を出ていった。

 

 

ワケわかんねぇのは俺の方だよ!!!!!!!!

 

 

撮影

 

撮影は夏休みの期間に行うことになった。

 

俺は文芸部の1人の部員からスカートを借りて空き教室で撮影をしていた。

 

撮影は夕方までやって、スカートを貸してくれた同級生に

 

「 夕陽に照らされてスカートが透けて下着のトランクスのシルエットが分かるのが不快。ボクサーパンツを履け」

 

と言われたが、俺は俺で

 

「股間に余裕のないやつは何をやらせてもダメ」

 

と謎理論を展開し、ボクサーパンツを履くことを拒否した。

 

撮影が終わると、ちょうど自分の教室が近くだったので俺は机の中に入れっぱなしだった夏休みの宿題を回収しに行った。

 

夏休み中、時刻は夕方で部活に来てる生徒も帰りだす時間、っていうのもあってスカートを履いた状態で教室に行って自分の机の中を漁っていた。

 

ガラガラガラ

 

クラスのウェイ系女子「えっ……」(ドン引き)

 

俺「え…あ…お、おつかれ」

 

そこにタイミング悪く、同じ部活帰りであろうウェイ系女子が教室に入ってきて見事にドン引きしていた。

 

ヤッッッッッッッバ。あんまり話したことない子だよ。うわあどうしようこの状況なんて言おう。

 

俺の頭脳はフルスロットルで思考を巡らせた。


ここで下手な弁明をしてしまったら誰もいない教室でスカートを履いていた変態というレッテルを貼られて広められてしまう。それは実質「社会的な死」を意味する。


ゴキブリは死の間際、IQ350近くにもなるという。


実質的な死の間際に直面したこのときの俺のIQは300とゴキブリに迫る数値を叩き出していた。


このスカートは盗んだわけじゃなくてちゃんと正規の手続き(?)を踏んで借りたやつだよという弁明をすれば万事解決では?最悪の最悪、『他人のスカートを盗んで履いた』と言いふらされることは避けられるのでは?


俺の頭脳はそう判断を下した。

 

俺「コレ、ちゃんと借りたやつだから

 

 ウェイ「」(無言で立ち去る)

 

 

 

 

 

 

俺の学校生活終わったわ。

 

 

 

 

 

ドレス、自作

 

ドレスはミシンを使い慣れてる子がいたので自作することになった。

 

わざわざ手芸部の部室を借りてまで製作してるのがシンデレラ役の男が着るドレスだなんて口が裂けても言えない。

 

出来上がったドレスを見ると

 

オフショルダーのサテン生地のヴィヴィッドピンクの膝上丈のドレスだった。

 

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※イメージ画像


おいおいおいおい、冗談キツいだろこれ……。

 

キャバ嬢でももうちょっと露出抑えてるんじゃないの???

 

しかも長さがだいぶ短かった。大丈夫?これ、校則ガン無視してるけど。

 

校則、確か膝が隠れるくらいだよね??膝上20センチは行ってると思うんだけど、大丈夫?

 

おかげでトランクスを履いてるとトランクスの裾見えちゃってるんだけど。

 

とオブラートに包んでドレスを作ってくれた子に伝えると

 

丈に関しては


「あくまで女生徒のスカート丈の話。男がスカートを履く際の丈については明言されていない」


と校則の書かれた生徒手帳を出してきた。


下着に関しては


「ボクサーパンツを履け」と言われた。

 

俺はその日、シンデレラのドレスの見栄えのためにボクサーパンツを買った。

 

役者って大変だなぁ!!!!!

 

文化祭当日

 

数多の苦行を乗り越え、出来上がったのは10分ほどのショートムービーだったが、俺にとってその10分は1時間くらいに感じられた。

 

 上映中、後ろの方でスクリーンに数十分おきに繰り返し映し出されるピンクのドレス姿の自分を見て「誰か俺をころしてくれ」、とそう願うばかりだった。

 

クラスメイトも3分の1くらい見に来てくれてて、上映後に

 

「似合ってたよ」

 

と褒めてるのか貶してるのか分からない言葉をいただいたりもした。

 

あんたら感性バグってんだろ。

 

 




 

このシンデレラの撮影の時、初めてボクサーパンツを履いて自分のブツがブランブランしない安定感に虜にされたおかげで、今はボクサーパンツ派である。