ぽぽすこ行進曲

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アルバイト体験記~寿司屋編~【その2 寿司を握……え?ベルトコンベアで流れてくるの?】

↓その1はこちら↓

poposuko.hatenablog.com

 

寿司職人の朝は早い

 

 寿司職人の俺の朝は送られてきた食材、備品を冷蔵庫に入れたり、所定の位置に仕舞ったりするところから始まる。

 

初めは

 

「パズルみてーだな」

 

と思ってちょっと楽しかったけど、5分くらいすると感情が無になった。

 

「なーーーにがパズルみてーだよ」

 

そう思いながらマヨネーズとドレッシングを棚に、エビとタコ、イカを冷蔵庫にブチ込む週末だった。

 

ここで、一緒に作業をしていたパートさんと仲良くなった。

 

その日はちょうど6連勤目らしく目元が死んでいた。

 

俺もよく『死んだ魚のような目をしてる』、『目に光がない』、『せっかくの二重が台無し』

 

と言われるほどデフォルトで目が死んでいるので、目が死んでいる同士で馬が合ったのかもしれない。

 

ていうか1番最初に死んだ魚の目してるって言ったやつ出てこいよマジで!ナメんなよ!?

 

当時のこのパートさんの悩みはグレた娘との接し方が分からないから教えてほしい、とのことだった。

 

俺に聞くなよな!?

 

 

そしてその作業が終わると今度はデザートの仕込みに入る。

 

仕込みって言うと聞こえはいいけど、やることはパフェの土台作りといなり寿司のストックを作ることだ。

 

これはちょっと楽しかった。なぜなら時々パフェの土台のつまみ食いができたからだ。(理由がゴミ)

 

ここでも仲良くなったパートさんがいた。揚げ物とか茶碗蒸しを担当していた人だ。

 

揚げ物のエリアは床がメチャクチャ滑りやすくなってる。

 

入ったばかりの俺はそれを知らずに足を取られて盛大に転んでしまった。

 

揚げ物のパートさんが俺に手を貸そうとしたら、パートさんも足を取られて転んで俺の脇腹に鋭い蹴りを炸裂させたのが仲良くなったきっかけだ。

 

いなりの仕込みの方は、揚げ物パートさんは難しいと言ってたみたいだけど、地味に俺のセンスが良かったらしく数回作ると綺麗に作れるようになった。

 

このことから、後に俺はしばらくの間、副店長から『Mr.いなり』と呼ばれるようになる。

 

いや、センスねえ……。

 

 

仕込みが終わると遂に、寿司を作るかということになった。

 

俺にもちゃんとシャリが握れるだろうか。どんな人に教わるのだろうか。見て覚えろとか言われたら面倒くせーな。

 

様々な思いを胸に寿司を作るエリアへと向かった。そんな俺を出迎えたのは気難しい職人ではなく無機質なマシーンだった。

 

 

 

ガッシャンコガッシャンコ(シャリが皿に乗せられる音)

 

 

 

ガタガタガタガタガタ(その皿がベルトコンベアを流れる音) 

 

 

 

え、お前が俺の師匠?

 

ベルトコンベアに乗って無限に運ばれてくるシャリ、シャリ、シャリ。

 

「シャリは流れてくるからネタ乗っけるだけでいいんだよ」

 

そう教えてくれたのは目が死んでるパートさんだった。こうして俺の寿司職人としての日々がスタートした。

 

乗せるだけなら簡単だろ、俺もそう思っていた。

 

んなワケなかった

 

そんなワケなかった。

 

ピーク時はいくら列車で送っても送っても注文が減らない。まるで終わりのないマラソンを走らされているかのようだった。

 

しかもネタの上に玉ねぎとかアボカドとか乗せるやつあるじゃん。

 

アレも地味に面倒くさかった。エビアボカドとかさ、エビの上に玉ねぎとアボカドとマヨネーズ乗せるんだよな。

 

これ連続で4つとか注文来てたときにはマジで「このメニュー考えたヤツくたばれていうかしね」くらい思いながら作ってた。

 

あとは炙りネタ。これもタレ塗ってマヨネーズかけて炙る、みたいな感じで行程が多くて面倒くさい。あといい感じに焦げ目付けないと店長がうるさかった。細かいんだよなアイツ絶対モテないよ。

 

炙りネタ季節ネタエビアボカドを織り交ぜて注文来たときが1番

 

「はぁ????」

 

ってなってた。「仕事でしょ、やれよ」って正論はなしでお願いしまーーーーーーーす。(クソ)

 

季節ネタもまた厄介なのが多かった。

 

常時あるメニューで「真イカ」があるんだけど、季節限定メニューである日「甲イカ」が出された。

 

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分かんなくねぇ!?!??

 

常時メニューに「黒みる貝(写真下)」というのがある。

 

いつぞやの季節限定で出たのは「赤にし貝(写真上)」。

 

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おめーら名前交換しろ!???!?

 

 

そんな悪態をつきながらも数か月働いたある日、遂に俺に後輩ができるのであった。

 

↓ その3です ↓

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