「やっべ、漏れそう」
こんなこと言えるうちは全然余裕ある。だって漏れそうって思えてるもん、トイレしたい以外の感情があるもん。
マジで漏れそうなときは阿修羅のような表情になるから。
「どうしてわざわざ俺の前を塞ぐように歩くのか」
「なぜ、こういうときに限ってトイレが混んでるのか」
周りの人全員がトイレに行くのを妨げてる妄想に囚われる。
このラインを超えると『無』になる。目が据わる。思考能力が奪われる。
『トイレしたい』以外の感情がなくなる。端から見たらめっちゃクールに見えるかもしれないけど、内心はトイレのことだけメチャクチャ考えてる。
「どうして私以外の人を部屋(個室トイレ)に入れてるの。ねえ、答えてよ洋式くん!!!!」
クールじゃねえや、これもうメンヘラだ。
この領域まで来ると、キャビア食べるかトイレ行くかの2択とか選ばせても余裕でトイレを選ぶ。
キャビアなんかじゃ俺は止めらんねえよ。
何だよあのビジュアル、闇落ちしたイクラじゃん。
50万円もらうかトイレ行くかの2択でもね、これはもう考えるまでもない。
金で釣ろうなんてナメんなって話よ。アホくさ。
俺にもプライドってもんがあるから。
こんなの余裕で50万円よ。
いや、待ってあのね、だってちょっと考えてみてよ。
50万円くれるんだったら漏らせるでしょ。
トイレットペーパーより薄いプライド
プライスレスだと思ってたものがいきなり50万の価値付いたみたいなもんよ。
まあそもそもの話、『漏らして50万』って話聞いたら「そんな美味い話が!?!?!」ってびっくりして漏らしそう。
閑話休題。
それに「やっべ」とか言ってるし。「やっべ、宿題忘れちゃった」みたいな絶対カジュアルなノリで言ってるじゃん。
なんならぶっちゃけ別に漏れそうじゃないのよ。
こういうやつは大体言いたいだけ。ギリギリ感を演出しているだけだ。
「ギリギリでいつも生きていたいから」
とKAT-TUNが歌っているように、人はやっぱり『ギリギリ』に惹き付けられるもんなんだ。
なんかカッコいいじゃん、ギリギリって。
スポーツで同じくらいの強さのチームに僅差で勝つ。あー、かっこいい。
時限爆弾を残り2秒くらいで解除する。はい、かっこいい。
宿題を期限ギリギリで提出する。ほら、かっ…うーん…いや、かっこいい。かっこいいよ。
ギリギリでもちゃんと期限に間に合わせるその姿勢、かっこいい以外の表現が思いつかねーよ。(無理やり)
何はともあれギリギリはストーリー性を産むんだわ。
ここまで来ると最早ある種のエンターテイメントだ。
すごいよな、ここまで自分の身を削って自分の便意をエンターテイメントにまで昇華させるそのメンタリティ。
俺じゃん。