結婚するから婚姻届の証人に名前を書いてほしい、とのことで1年ぶりに中学時代の友だちと会うことになった。
ここでは仮にTくんとする。
Tくんは、自分と性格が似ているのか、物事の考え方が似ているのか、不思議とかなり話が合う。
婚姻届の保証人の欄はさっさと書き終えて、早々にお茶をシバきながらの雑談タイムに入り、電化製品の話になった。
Tくん「家電って完全に壊れるまで買い替える気にはなれないんだよね」
いや、めッッッッッちゃ分かる。
どこかちょっと壊れてても「まだ使えるし……」ってなるんだよな。
炊飯器とか「炊けるまでに半日かかる」くらいのレベルまで壊れないと新しい物は買わないかもしれない。
Tくん「でもね、買い替えたいなと思っているのはいっぱいある」
いやもう本当にそれ。それなのよ。
同意しすぎて500回くらい頷いたわ、今。
別にね、買い替えたくないわけじゃないのよ。
財力が許せば炊飯器だけじゃなく、テレビも電子レンジも買い替えますわ。
Tくん「今はね、ひげ剃りを買い替えたい」
あー、分かる。これも完全に同意。いいね100回くらい押したい。
俺もちょうど今買い替えたいのよ、ひげ剃り。
電池の保ちが有り得ないくらい悪くなってきてるんだよね。
なに、T君ヤバくね?
思考が完全に俺とシンクロしてる。
もしかして生き別れた双子だったりする?
「お兄ちゃん」って呼んでもいいよ?
Tくん「今、1万ちょいのひげ剃り使ってるんだけどね──」
いや、ごめん。分からないわ。
ごめん。ちょっとストップ、ストップ。お兄ちゃんって呼ぶのやめて?
もうこの時点でこの話やめたくなった。
なに、マウント??
俺、万超えのひげ剃り使ってますけど???ジョリジョリジョリジョリズバババァァァン!!!破ァ!!!!!!みたいな感じ?
他所でやってくれ。頼むから。
こちとらアマゾンプライムデーで2000円で買ったよう分からんブランドのこんな感じのひげ剃りですわ。
ウルトラマンに出てくるガッツ星人みたいなフェイスしてますわ。
やめていい?この話。もういいよ、やめようぜ。
このまま話進めても誰も幸せになんねえもん。
なんかさ高いの買っちゃうと、愛着湧くというか『大事に扱わないと感』が出てくるじゃん。
仮に数万するひげ剃りを持ってたとしましょう。
誤って手から滑り落としたらどうですか?
「ああああああああああ!!!!!壊れてないかな!?大丈夫かな!?!?」
ってなるじゃん。嫌なのよ、俺は。
ひげ剃り落として一喜一憂したくないの。
近すぎるよ、髭剃りとの距離感が。マブダチじゃん。
それぞれに適切な距離感ってやっぱりあるのよ。
ひげ剃り落としたときの感情で正しいのは
「うわ、ヤベ、落としちゃった」
このレベル感なのよ。
ていうか何の話してたっけ?Tくんが俺の生き別れの双子だって話?
何はともあれTくん、結婚おめでとうございます。
もし結婚式やるなら、スピーチでこの話をするので是非呼んでください。