この前友だちと将来の話になった。
そういえばまともに考えたことなかったなって思って、ちょっと真剣に考えてみた。
真っ先に浮上した感情が『ヒモになりてえ』だった。
今までまともに考えたことなかったやつが、まともな答え出すはずがねえんだよな!?
来世にでももうちょいクズに生まれてヒモか逆玉の輿狙うかぁなんて思ってたら
チャンスが転がり込んできた。
店長トイレ、先輩競馬、俺店番
その日のシフトは俺、店長、2年目の先輩。
2年目の先輩は休憩中。そして運悪く腹を壊した店長はトイレに篭っていた。
配属3ヶ月の新卒を一人にする店。
この時点でおかしいよな!?
サバンナの親ライオンだって子ライオンにもっと優しいハズなんだよな!?
確かにうちの店舗はお客さんの出入りが他の店舗に比べて少ない。でもさ、ちゃんと来るの。
しかもたまにやべーのとか来るんだよな。扱う金額がシャレになってないやつ。
天敵が少ないからって野に放っていい理由にはなんねーよな!!?襲われない確率は0じゃないからな!
立派に成長してほしかったらもっと割れ物を取り扱うように大事にしろ!?(ゆとり教育が産んだ化物)
なんてことを思いながら、やべー客が来ないように祈ってた。
来たよ
そしたら来たよ。
フラグ回収すんの早えーんだよな。
コープスパーティーの世衣子かっつーの(チョイスが微妙)。
※世衣子って?※
ゲーム序盤で首吊って死ぬ女の子。続編では首吊りを回避。生き残るかと思いきや今度はピアノ線で死んだ。
誰が来たって、店長がいつも相手してるセレブ(風)のお客さん来ちゃったよ。
客「店長さんいるかしら?」
うんこ中とは口が裂けても言えない。
休憩中の先輩に助けを求める視線を送ってみると競馬のラジオ中継に夢中だったが、視線を感じたのか俺と目が合った。
そしてあろうことか中指を立ててきた。どうやら競馬で負けたらしい。あのような先輩にはなりたくない。
ていうか新卒に中指立てる職場ってなんだよ!?
ひっそりと両手で中指を立て返して、腹をくくった。先輩は使えねー(失礼)。やるしかない。
俺「席外してるんですよ~。ぼくでよかったらお伺いします~」
・語尾が伸びている。-10点
・1人称が「私」ではなく「ぼく」-10点
・フランクすぎる言葉遣い -10点
・お客さんからは見えないがズボンのチャックが全開-100点
俺接客向いてないかもしれない。
客「じゃあお願いしようかしら」
個室のブースへ。言っとくけど別にいかがわしいお店じゃないからね。
客「あなた新しい人?随分可愛らしい顔ね」
俺「そうなんですよ、この前来たばかりで。ありがとうございます~」
客「私がもう少し若かったらご飯誘ってたわあウフフ」
はいちょっとタイム
なんだぁ?お前自虐風自慢かぁ?って思ったやつ。
前出ろや?
あのな?相手、推定50過ぎてるんだからな。冷静になれ?まあ顔褒められんのは嬉しいけど。
これがもしドチャクソ美人なおねーさんだったら
むしろこっちからご飯誘うし(問題発言)
名刺の裏にLINEのID書いて渡してるし(一発退職)
なんならアフターでもなんでもいくらでも付き合ってるから。(そういうお店ではない)
ていうかこの人結婚してるし。熟女&既婚のダブルパンチなの。
合コン女子のさしすせそ
用事を済ませたおばさん。帰るかと思いきやこの前引っ越したから始まり、自分の子どもの話など、色々な話をかれこれ20分くらいしてきた。
そのトークを俺は
「へぇ~↑!?」
「そうなんですか!?」
「え、すご~~い!」
をローテーションさせて何とか乗り切っていた。
奇しくも「合コン女子のさしすせそ」の「す」と「そ」を駆使していた俺である。
今度女子サイドに余りがあったら俺呼んで。(もうムチャクチャ)
そんでもって「す」と「そ」は任せて。
自慢話を聞かされ、内心うんざりする女性の気持ちが少し分かった気がした。合コンに行っても自慢話だけはするまい。そう心に決めた瞬間だった。
逆玉の輿、それは可能性の光
一通り喋り終えたのか、今度は俺をおだてるフェイズに移行した。一度もかっこいいとは言われなかったけど。クソが。
それに呼応するかのように俺もおばちゃんをおだて始めた。「その指輪お似合いですね」とか「ネイル塗るの上手いですね」とか「まだまだお綺麗じゃないですかぁ」とか。
途中『どうして俺はおばちゃんをヨイショしてるんだろう』と考えそうになったけど思考をストップさせることで難を逃れた。
プロ顔負け俺のヨイショに気を良くしたのか、おばちゃんがこう切り出した。
「娘ね、彼氏いたことないのよお(チラッ)」
なんだその視線はよぉ。誰がおばちゃんの思い通りになるかってーの!
なるか……ってー……セレブの娘ぇ!?!???
脳裏をよぎったのは『逆玉の輿』の4文字。
待て待て待て。22歳で今まで一度も彼氏ができたことないということは何かしらの問題があるハズ。(名推理)(失礼)
俺は目の前に現れた可能性の光を振り払うように
合コン女子が男の自慢話をいなすように
力強く言い放った。
「そうなんですね!!」
家に帰ってから死ぬほど後悔した。